Jeudi 2 décembre 2010 4 02 /12 /Déc /2010 09:43

FRBの憂鬱(NYマーケットウオッチ)

2006/05/16

 ベン・バーナンキ氏が米連邦準備理事会(FRB)の議長に就任して3カ月半がたち、同氏の主導による連邦公開市場委員会(FOMC)も2回目が終了した。ちょうど米国経済が難しい状況に差し掛かって来たこともあるが、金融政策の透明性向上を図るとしていたバーナンキ氏は、市場との対話の難しさを改めて感じているところであろう。

議長の言葉で市場は動くのだが

 4月27日、バーナンキ議長は米議会の上下両院合同経済委員会で証言し、その中で引き締め過ぎのリスクを避けるため、利上げをいったん休止する可能性を示唆した。同時に、その後再開する可能性もあるとも述べている。

 休止した場合、金融政策の方向が完全に変わったと市場が早合点し、長期金利が低下してしまう可能性がある。そうなると、景気が十分に減速する前に再び拡大してしまい、物価を押し上げる懸念があるため、釘をさしておいた形であろう。

 しかし、金融市場はやはり早合点した。「6月のFOMCでは、政策金利はいったん据え置きにするかもしれない」という発言をとらえて、いとも簡単に「6月は据え置き」が確定したかのようなムードが強くなった。さらに「利上げ再開はない。それどころか、年内には利下げが始まる」という意見さえ出てきた。

 もちろん、エコノミストは自由に意見を述べる権利があり、また利下げ開始論にもそれなりの根拠はある。ただ、「FRBはそのように考えているはずだ」とまで言われだすと、バーナンキ議長としては、ちょっと違うと言いたくなるだろう。

 その反動が現れたのが翌月曜日であった。経済専門チャンネルであるCNBCテレビのマリア・バルティモロ記者は、4月29日に行われたホワイトハウス記者会の夕食会の席上、バーナンキ議長に「市場は議長の発言を正しく理解しているか」と質問したところ、議長は即座に否定し、また自分が金融政策に対してハト派であると見られていることに対する懸念を表明したことを明らかにした。これを受けて5月1日の株式市場では、S&P500種株価指数が0.4%下落した。

 しかし、この話には大きな問題がある。バーナンキ議長は、誤解を解きたいのであれば、もっと公式な場で、自らの口からそれを語るべきであった。バルティモロ氏は土曜日に行われた会話の内容を、月曜日の午後3時過ぎに、自分の番組の中で述べた。株式市場は寄付きから小幅な動きを続けていたが、最後の1時間を切ったところでこのニュースに出くわし、急速に下げたのである。

 発表のタイミングにせよ、内容にせよ、これはバルティモロ氏によるものである。バーナンキ議長の発言を捻じ曲げてはいないかもしれないが、解釈によってはさらなる誤解が生じている可能性もある。FRBはバルティモロ氏の報道に対し、特に否定も反論もしなかったが、バーナンキ氏はこのような形で発表されるとは思っていなかったに違いない。

FOMC声明文の解釈分かれる

 これらの経緯があった上でのFOMCである。0.25%ポイントの利上げは完全に市場の予想通りであったが、市場は同時に発表された声明文に注目した。

 内容自体は前回までとほとんど同じであるが、微妙な部分で変化が見られる。特に問題となるのが第4段落で、「委員会は、更なる利上げがまだ必要になるかもしれないと判断する」と述べられている。

 この部分に相当する箇所は、1月と3月のFOMC声明文では「更なる利上げが必要になるかもしれないと判断する」とされていた。今回は「まだ(yet)」の一言が加わっている。FRB側も一言一句が細かく分析されるということを了解した上で書いているのであろうから、いい加減に加えたわけではないだろう。

 しかし、単純な単語ながら解釈は分かれている。エコノミストの中では、わざわざこの言葉を入れたのは、逆に利上げがもうすぐ終わることを示唆しているという解釈もあった。一方、市場で利上げ終了論が広がっていることに対するけん制に過ぎないという意見もある。関係者の中には、過去においてFOMC声明文の中で使われていた「相当な期間(considerable period)」や「緩やかな(measured)」といった表現並みに重要な言葉になってくるのではないかと見ている人もいる。

 FOMCが開催された10日は、主要株価指数はいったん上下に振れたものの、結局前日比ほとんど変わらずで取引を終えたが、その後11日、12日と大幅な下落に見舞われた。なんにせよ、6月のFOMCでも利上げは続くということが改めて確認されたからであろう。

 ただ、そのような見方の中でも、「FRBは利上げを中断したがっている。しかし、インフレ懸念が強まっている中、引き締めを1回でも緩めれば状況は悪化し、結局利上げの再開、長期化につながる」という解釈もあった。市場関係者は、FRBの言葉を各人が好きなように受け取っているようである。

FRBに聞くな、指標に聞いてくれ

 実際のところは、FRBはどう考えているのであろうか。投資家は、今回の声明文におけるもう1つの箇所に注目すべきだろう。すなわち、「利上げの幅、時期については、今後出される経済指標から示される景気見通しの展開に大きく依存するということを強調する」という部分である。

 言質をとられたくない、自由度を留保しておきたいという意図もあるのだろうが、実はFRB自身にもわからないというのが本音なのではないだろうか。今後どうするつもりなのか、FRB関係者の言葉の中からヒントを得ようとしないで、経済指標に求めてほしいということなのだろう。

 このような当たり前のことをわざわざ「強調」しなければならないところに、市場との対話の方法に迷うバーナンキ議長の苦悩が見て取れるようである。





米、追加利上げ――市場の見方分かれる(ウォール街発米景気点検)

2006/05/12

米連邦準備理事会(FRB)は十日の連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラル・ファンド(FF)金利を五%に引き上げた。声明文は追加利上げに含みを残す一方、経済指標次第で今回で利上げを打ち止める可能性も示唆した。市場関係者の間では「今回で利上げ打ち止め」から「六%まで利上げ継続」まで意見が分かれている。(1面参照)

 声明文は「金融引き締めの程度とタイミングは、今後の経済指標の変化に左右される」と指摘した。FRBが「タイミング」という言葉を使ったのは二〇〇四年六月に金融引き締めに転じてから初めてだ。

 市場関係者は、二年近く続いた利上げ局面が転機を迎えつつあると一斉に受け止めている。ただ六月の次回FOMC以降にも、追加利上げがあるのかないのかを巡っては見方が分かれている。

 バンク・オブ・ニューヨークは「利上げは今回で打ち止め」とみる。同社は「インフレ懸念は抑制されている」という“ハト派”の立場で、「FF金利は五%に保たれる」と予想する。「六月は見送り、年後半に再度利上げを実施」(ワコビア)との見方もある。

 一方、グローバル・インサイトは「六月に追加利上げを実施したあと、しばらく利上げを休止する」とみている。同社は「利上げの効果は半年から一年後に表れる」として「住宅市況が減速を示し始めたのは初期の利上げ効果が浸透してきたから」と分析。六月を最後に利上げを打ち止め、過度な金融引き締めで景気を冷やし過ぎるのを避けるとみる。

 利上げ継続派(タカ派)の最右翼はマリア・フィオリニ・ラミレス(MFR)。同社は「今後のFOMCの会合二回に一回程度のペースで〇・二五%ずつ利上げを実施し、FF金利は六%まで上がる」とみる。好景気を背景にしたインフレ圧力を抑えるために、利上げの断続的実施が必要だと指摘する。

 ハト派、タカ派双方に共通するのは、今後の金融政策を左右する最大の材料は米国内物価の動きとの見方だ。声明文もインフレリスクへの懸念を強調する内容になっている。

 インフレ懸念の源は、原油価格の上昇よりも米景気拡大による雇用の逼迫(ひっぱく)にあるとの見方が多い。原油価格の上昇は、むしろ景気減速要因ととらえる向きが増えている。今後の米金融政策の行方を探るうえで、雇用統計などが示す賃金上昇の動きに市場の関心が集中しそうだ。

関係者コメント

ドル安傾向続く/雇用逼迫を懸念/年後半にかけインフレ圧力

 マイケル・ウールフォーク氏(バンク・オブ・ニューヨークのシニアストラテジスト)

 金融引き締め局面は今回で終わった。今後は特別なことがない限り、5%の金利を維持するという姿勢に変わるだろう。

 「まだ利上げが必要になるかもしれない」との文言が残った点は、市場予想よりもややタカ派的だった。経済指標次第で六月に再び利上げする可能性がないとは言い切れないが、確率は低い。

 国内総生産(GDP)の実質成長率は今年後半に減速、年率3.2―3.5%に落ち着く。住宅市場は明らかに下落傾向だが、足元の景気が強いので失速にはつながらない。全体としては軟着陸がうまく行っているという印象だ。

 利上げ打ち止めが濃厚になり、ドルは対円で下落を続けるだろう。1ドル=105―107円まで円高が進む余地がある。

   ヤン・ハチウス氏(ゴールドマン・サックス証券のチーフUSエコノミスト)

 6月のFOMCで追加利上げを見送るとみる。次の利上げへの市場の期待が高まり過ぎた場合、もう一度利上げせざるを得ない状況もあり得るが、利上げのペースは落とすだろう。

 原油高の影響で消費や雇用の伸びが鈍り、米景気は減速する。次回発表の消費者物価指数(CPI)が多少低めの数字になると予想する向きもある。インフレについては原油高騰がCPIに影響するだろうが、FRBの方針に大きな変わりはないだろう。

 為替相場は円高・ドル安の傾向が続くだろう。ドルは1ドル=95円の水準まで下がると見ている。

   フィリップ・ニューハート氏(ワコビアのエコノミスト)

 6月のFOMCでは利上げをいったん見送るだろう。ただ年後半に再び利上げを実施する可能性は残る。今後の経済指標でインフレ圧力が強まるようなら、8月から年末までにあと1度か2度に利上げに踏み切る可能性がある。

 FRBは今後、GDPの成長率とコア個人消費支出(PCE)デフレータに注目するだろう。今年後半のGDP成長率は年率3.5%程度とみる。インフレ圧力は年後半にかけて強まるだろう。

 一方、住宅市場は緩やかに減速を始めている。だが住宅市場の停滞で住宅の担保価値が下がれば、個人消費に悪影響を及ぼす。

   ブライアン・ベシューン氏(グローバル・インサイトの米国エコノミスト)

 FRBは6月にFF金利を0.25%上げて、利上げを打ち止めにする公算が大きい。利上げは半年から1年後に効果が出る。持続可能な安定成長を促すためにも、FRBはいったん利上げを中止して効果浸透を待つ姿勢をとる。

 年後半にかけての米景気減速は明らかで、7―9月期の成長率は年率2.6%、10―12月期は2.8%増とみる。過度な金融引き締めで2000年に景気拡大が止まった記憶はFRB理事らの間で新しいだけに、今回は慎重になっている。

 ダウ平均株価は最高値を更新する可能性が高いが、その水準を維持できるだけの力を保てるかは疑問だ。



   ピエール・エリス氏(ディシジョン・エコノミクスのシニア・グローバル・エコノミスト)

 今回の声明で「今後の利上げのタイミング」は景気動向次第とし、初めて「タイミング」という言葉を用いた。約2年間に渡る利上げに終止符を打つという意味で重要な言葉だ。

 FRBは景気の行方はそれほど懸念しておらず、むしろインフレリスクに着目している。一段の利上げを実施するかは今後の物価動向次第とみられる。4月の米雇用統計で賃金上昇率が予想以上に高く、賃金上昇圧力が一段と強まれば6月に利上げする可能性が高い。それ以降も利上げが続くかどうかは景況次第とみられる。

   マリア・ラミレス氏(マリア・フィオリニ・ラミレス会長)

 FF金利は6%まで引き上げられる。FOMCは今後の会合で2回に1回程度のペースで0.25%の利上げを実施し、来年中旬ぐらいまで利上げは続く。

 過去1年、利上げは5%で打ち切りと見ていたが、最近見方を変えた。理由は(1)金融引き締めにもかかわらず経済成長のペースが落ちない(2)3%を下回るとみていた年後半の経済成長率が3―3.25%を維持する(3)インフレリスクが高まっている――などだ。

 インフレリスクは企業が商品の販売価格を引き上げる形で現れる。最近の好景気で米企業は新規に雇用したり、研究費を増やしたりしたため、そのコストを価格転嫁する必要がある。エネルギー価格や原材料費の高騰も価格上昇要因だ。
 




米FRB利上げ 読めぬ「次の一手」 市場との円滑対話カギに

2006/05/12

米連邦準備制度理事会(FRB)は10日、フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を0・25%引き上げ、年5・0%とした連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明で、「利上げ休止宣言」を見送った。事前には休止宣言が出るとの予想が大勢だっただけに、今後の金融政策は先が見通しにくくなった。6月末の次回FOMCまで、金融市場の安定をいかに維持するか。2月に就任したベン・バーナンキFRB議長は、市場からの信認を得るための最初のヤマ場を迎えている。

 声明は、インフレ防止のための追加利上げの可能性を指摘する一方で、「金融引き締めの程度やタイミングは、もっぱら経済見通しの成り行きによる」と強調した。利上げの最終局面を迎え、FRBは政策決定の柔軟性を確保した形だが、市場関係者から見れば、一連の利上げが始まった2004年6月以来、事実上初めて、FRBの「次の一手」が読めなくなった。

 ただでさえ注目を集めるバーナンキ議長の発言は今後、一層重みを増す。議長が「市場との対話」に失敗すれば、金融市場の動揺が、株式相場の急落など取り返しのつかない結果を生みかねない。

 その恐れを市場関係者が抱いた事件がある。今月1日に米テレビの女性キャスターが番組で、議長との個人的な会話内容を公表したのだ。この女性キャスターは、 経済や金融に関する書籍の代筆ライターとしても有名だ。
 
 議長は4月29日のホワイトハウス主催の夕食会でこのキャスターと同じテーブルについた際、同27日の議会証言で利上げの一時休止に言及した自らの発言について「市場は誤解している」ともらしたという。番組の直後から、金利の先高観測で株安が進むなど、市場は一時的に混乱。非公式な場での不用意な議長の発言に批判が高まった。

 議長は今後、18日のシカゴ地区連銀での講演に続き、23日には再び議会証言を控えている。

 6月末のFOMCに向け、消費者物価指数や雇用統計など、物価や景気を判断するための重要指標の発表が相次ぐ。これらの指標がどう動けばFRBがどのような政策判断を示すのか。市場との対話を円滑にするための“道しるべ”を議長がどう示すかが問われている。

 

 《金融市場が注目する米国の主な日程》

5月12日 3月の貿易統計

  17日 4月の消費者物価指数

  18日 バーナンキFRB議長の講演(シカゴ地区連銀の会合で)

  23日 バーナンキ議長の議会証言(上院銀行委員会。ほかにスノー財務長官ら)

  25日 1~3月のGDP改定値

  31日 FOMC(5月10日)の議事要旨

6月 2日 5月の雇用統計

   9日 4月の貿易統計

  14日 5月の消費者物価指数

  28日 FOMC開始

  29日 FOMC終了。声明発表

Par shonan.over-blog.com
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